「開かずの屋根裏開き」に全国を回る強力な助っ人が!「おおそうジプシー」による歳末大掃除。


活用模索中の空き家・・・。

祖父母が亡くなった時に、遺品の整理なんかは業者さんに頼んでいたので、荷物なんかはなく「空っぽ」なのだけど、玄関の上にある「屋根裏への入り口」がずっと気になっていました。

自分が登ったことは無いと思うけど、天井から梯子が下りてきていた幼い頃の記憶もある。

あそこも「空っぽ」になっているのか、はたまた何か遺されているのか・・・


母に聞いても伯母に聞いても「さあ、どうやったっけかなあ。知らんわ」。

田舎の空き家管理なんてそんなもんですよね・・・・


2017 年の暮れも押し迫った12月30日。

そんな奈良の片田舎の空き家に福井県南越前町の流動創生事業による「おおそうジプシー」の面々が訪れてくれたのです。

今回の「おおそうジプシー」は年末から元旦の4日間、徳島・奈良・福井・富山を回って、各地の「大掃除」などをしながら回られるのだという。

初日の徳島から移動されてきた3名、この日から参加で東京から早朝の新幹線で移動されてきた1名、普段は南越前町在住で年末年始の大阪帰省中だった1名に、私の友人2人も参加してくれて、「開かずの屋根裏開き」を敢行しました。

おそるおそる開けてみる。(この棒は通販で1500円くらいで購入)

やっぱり階段が出てきた。

登ってみた私の第一声・・・

「てゆうか、野外です!」。


何に驚いたって風が通ってました。

網戸というか格子戸というか窓が開いていて、空気が通り抜けになっていたのは予想外でした。

天井は大人が立って十分な高さがあり、広さも家屋全体の屋根裏のようでそこそこ広い。

(20畳~30畳くらいかなあ・・・)


そしてなんと床は土!

土間ってことか!?

だから、開けた時に大量の土埃が上から降ってきたのか・・・


中はほぼ真っ暗で懐中電灯が必要だった・・・と後悔しましたが、登ってきてくれた参加者の皆さまがスマホの灯りを手にあちこち照らしてくれました。

(今思えばもっと写真を撮っておけば良かった・・・と超絶反省しきりなのですが、暗かったこととその時はただただこの場所に各地から複数の方々が集ってくれていることが嬉しくてだいぶ舞い上がっていて、それどころじゃありませんでした 汗)


中にあったものは、残念ながらお宝はなく、ほぼガラクタ。

当時使っていたであろう巨大な米びつやら、使い古されたマットやら・・・

一番謎だったのはパチンコ台。

自転車に代表されるようなサイズが大きいものもけっこうあって「いったいどうやって運んだんだろう・・・」と謎が募る展開になりました。


ひそかに自分自身、胸が熱くなったのは「大量の木の枝」。

なんだろ、これ、と思ったのだけど、「五右衛門風呂の燃料」だということに気づく。

この家のお風呂は薪で火を起こすタイプの五右衛門風呂なのです。

でも、目の前に銭湯が出来たことにより、母が子どもの頃には既に使われていなかったと聞いていて。

つまり、この枝は少なくとも五十年以上はひっそりとここに眠っていたんだ、と。

そして、たぶん、これをここに運び込んだのはまだ若かったおじいちゃんなんだろう。

なんだか、そう思うと、木の枝をじっと眺めてしまいました。


ここ・・・一人では絶対に開けられなかった。

開けたところで悲しくなるか寂しくなるかが関の山だったと思います。

空き家が放置されていくのってそういう「切なさ」のような感情的要因もとても大きい、というのはよく言われるところ。


けど、こうやって皆でわいわいと開けること、「これってあれですよね」とかその場にいる皆の知恵が結集されていくこと・・・ひとりだったら「うわ、、こうなっているのか・・・」と途方に暮れるはずだった時間がわくわくする時間に変わりました。

きっと、昔の「地域」には、こういう風に、「面倒なことを皆でわいわいがやがや片づけちまいましょう」という発想から生まれた行事がたくさんあったんだろうなあ、ということにも思いを馳せました。


この日は屋根裏に関してはお掃除ではなく「開けて状況を把握する」ことが目的だったので、無事に目的達成です。


その後は、地上?に降りて、大掃除開始!

正直、ひとさまに空き家を掃除してもらう・・なんて、もちろん初めての経験で、何をどうやってもらえばいいかさっぱりわからずオロオロしていたのですが、

さすが各地域を回って来られた皆さまの臨機応変な対応力は凄まじかった。


福井から運んでこられた掃除道具をめいめいが手に取り、埃ははたかれ、床は履かれ、窓は磨かれ・・・。

感動したのは、抜け落ちかけている畳を「外に出しちゃっていいですか?」とさくっと判断してくれたこと。

もうその畳が使用に耐えないのは一目瞭然だったのに、それを「外に搬出する」という発想を自分は持っていなかったので、「そうか、そういうことなのか」と目から鱗がまた落ちました。

6枚の畳を皆で協力して運び出した後は「床板を全部剥がすこともできるけど、そうすると、そこから外気が上がってくるから今はここはこのままにしておきましょう」等と親身になったアドバイスもたくさんいただきました。

数々の古い家をメンテナンスしてきたであろう猛者だからこそ、即座に必要なことが理解できるんだろうなあ・・・と惚れ惚れです。

今回、流動創生の皆さまに来ていただいて、本当に山ほどの気づきを得ることが出来ました。


家は人が住まないとすぐに傷んでしまう。

それはわかっていたので、2016年の11月に空き家になった後のこの家に初めて来て以来、何ができるわけでもないけれど、2か月にいっぺんくらい「風通し」に奈良に帰ってました。

けれど、具体的に何をしたらいいかわからなくて、ただ窓を開けて15分くらいぼーっとしていることしか出来なかったんです。


電気が通っていないから掃除機も使えないし、水道も通っていないし雑巾がけもできないし・・・と、なぜか頭のどこかで考えている自分がいた。

掃除機なんてなくても、箒とちりとりを使えばいい。雑巾で水拭きできなくても窓ふき用のグッズもある。

そんな簡単なことにさえ思い至っていなかった自分に、皆がお掃除をしてくれている姿を見て、気づきました。


自分だけで考える、行動する、というのは想像している以上に視野が狭くなるんだなあ、ということをあらためて実感した瞬間。

自分の気づきは小さなものかもしれないけれど、「人の流れ」によってその場所に新たな価値がもたらされていく様子を体感することが出来た幸せな時間でした。


そんな感慨に耽っている間にも、みるみるうちに家は綺麗になっていき、淀んでいた空気が抜けていく・・・たった数時間だけなのに、こうやってこの場所に流れて来てくれた人たちのおかげで、この空き家の余命がいくばくか延びたことは間違いなく、ただただ感謝です。

友人2名も本当に忙しい中参加してくれて、とてもとてもありがたかった。


次回の風通しからは、お掃除をしようっと♪と、楽しみも増えました。

開いた屋根裏をどうしよう、という新たな課題?も発生はしたけれど、それも含めて、2018年も引き続き、空き家活用を楽しみながら模索していこうと思います。


おおそうジプシーの皆さま、あらためて本当にありがとうございました!


◆後記

年明けに早速、簡単なお掃除用品を買って、空き家に運びました♪

これは、急きょ100均で調達した簡易なものなので、ゆくゆくは福井から持ってきてくれていたような、あの使いやすい長さの上質な「本物」の箒が欲しいです。

2018年はしっくりくる箒探しもしなければ~。

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