吉野のお宿で妖怪を語る~見えるもの、見えないものそれぞれ

先日、とある研修(場所は東京)を受け、自己紹介で出身地を言わなくてはならないので

「奈良出身です」と言うと、

周囲から口ぐちに

「鹿がいるところですよね」

「修学旅行で行ったことあります。公園。鹿に襲われました」

と、「いつものあれ」を浴びました。


来て頂いたことがある、というのはもちろん嬉しい、有難いこととして

県外に出た中部・南部出身者としては

「私たちも遠足ぐらいでしかそのエリア行かないですよ・・・」と思う、あのいつもの「あるある」。


ちなみに「平等院鳳凰堂とか」と仰っていた方もいて、

「それは京都」と思いましたが、突っ込むと場の空気が悪くなりそうなので

スルーしてしまいました。気弱、気弱ですよ、わたくし・・・。


かくいう私は、中部出身。

ここ2、3年、二拠点目指して奈良通いをする過程で北部にも良く行くようになりましたが、

それまではいわゆる観光エリアはあんまり行ってなかったです。

大阪出るほうが近いんですよね・・・買い物も遊びも。

今思えばもったいなかったな~・・・と思わなくもないですが。

(今、散々行ってるからいいか・・)


最近、県外の方に話す機会がある時は

 北部:いわゆる「鹿公園」をイメージして頂けると良い観光エリアです。

 中部:大阪へのベッドタウン的な街多し。ただし、実は地味に歴史史跡は多いです。

 南部:山です。吉野の桜、とかが有名です。

と、お伝えしています。

(異論、反論、「もっとこう説明した方が」という方がいたらごめんなさい)


「奈良」と一口に行っても広いのですよ・・・・

北部から南部は車で3時間くらいかかりますしね・・・


と、前置きが長くなりましたが、中部からはなかなか行く機会の無い南部。

先日、初めて、その玄関口とも言える「吉野郡」のゲストハウスに宿泊する機会に恵まれたので、

そのことを少し書いておこうと思います。


なんせ、ものすごく素敵だったので・・!

たまりませんでした。幸せでした。


吉野駅に降り立った瞬間、もう空が神々しい・・・。

お宿の名前は、KAM INN。

知人の知人がやっているご縁があってfacebookで見たことがあって、

県外から移住した女将が一人で切り盛りされているとのこと、

一度伺ってみたいな・・と気になっていました。


ちょうど「まほろばの王たち」という自分好みの小説を読んで、

役行者や彼が従えたという鬼たちの存在が気になっていたタイミング。


そして、全然詳しくは無いのだけど、たまたま先月読んだ「修験道」の本がとてもとても学びが多くて興味深いなあ、少しずつ触れていきたいなあ、と思っていたタイミング。

さらに、今年、女将が修験道の修行をされて得度された、というのもブログで拝見して、気になり度最高潮。


そんな頃、10月の奈良帰省の日にイベントが開催されるのを発見しまして、

「これは・・!」と。えいっと申し込んでみました。


イベントの内容は「愛しい日本の妖怪文化」。


女将は、幼い頃から妖怪がお好きだとのこと。

わたし自身、その道(?)に詳しいわけではないのですが、

古代の文化や、神社仏閣に関心が高くて、

なんというか「目に見えるもの以外のもの」の存在ってあるよな~と思っている方でして。

(自分自身はぜんぜん見えないですけど)


ホラーもの、怖いもの、は苦手ですが、「妖怪」はなんだか心躍るキーワードなのです。


ただ、そういう道って一歩間違えれば(?)、「スピリチュアル」とか霊能、とかが強めな方面に行ってしまったりもするのかな、と。

それ自体は良し悪しではないのですが、

あまりその要素が強くなりすぎてバランスを欠いてしまうのはわたし自身が好むスタイルではなかったりします。


その点、このKAM INNは自分にとっては「絶対信頼できる」という安心感がある。

「一度泊まってみたい」と「妖怪トーク聞いてみたい」という

「一粒で二度美味しい」・・更に「修験道に触れてみたい」も加えると

「一粒で三度美味しい」に惹かれて、一路、吉野に向かうことに致しました。

当日は、

・参加者同士、妖怪についてあれこれお喋りする昼の部

・代々吉野山に住む山伏さんから直接お話を聞くことのできる夕の部。

に加え、宿泊翌日の朝は

・金峯山寺の朝の勤行にお参り。


豪華・・!!


夕食には近くの美味しいお蕎麦屋さんでお蕎麦を堪能し、

近くのお宿の温泉にも浸かり。


感想。

・・・最高でした。


三度どころじゃないくらい、

たった一泊なのに、吉野の魅力にあてられてしまいました、わたくし・・・。

私の拙い文章で何を語ってもその良さを伝えられる気がしない。

(だったら書くなよ、という話か・・・)


イベント自体、妖怪にとても詳しい方からそうでない方までバリエーションに富んではいるものの、

皆さん、「ええ感じ」の素敵な方ばかり。お話がとても興味深く面白い。

(部によって入れ替わりありましたが、だいたい10人弱くらいの方々が参加されていました)


何より女将の人となりが、素敵すぎて。


県内に、北部・中部でそれぞれ一つずつ、

よく使わせて頂いているお気に入り(店主の人柄が最高)なゲストハウスがあるのですが、

今後、南部はここしかもう考えられない・・・。


ゲストハウスの本棚には妖怪関連の本を始めとして興味深い本がてんこ盛り。

ああ、ここに数か月住んで読破したい・・・(心の叫び)。


女将曰く「がらくた市ですよ~」と仰っていた玄関脇の小さなスペースには、

興味惹かれる雑貨や文庫本が並べられていて。

思わず1冊購入しました。

もっとちゃんと学んで、ここに書けるようになりたいのですが、

今回訪れた金峯山寺は、世界文化遺産でもある「紀伊山地の霊場と参詣道」の位置づけの場所であり、

吉野という土地自体が「紀伊山地の霊場」。

・・・霊場。


月並みですが、本当に「神聖な場所」だなあ、と思います。


あいにく(?)シンプルな五感以外の受容体はほとんど持っていない私ですが、

当たり前に、この土地には「目に見えるもの以外」の息吹がありますよね・・・と感じます。


知識では、頭では、きっとそうなんだろうな、と予感はあったものの

実際に足を運んでみて「やっぱり、凄いわ、吉野は・・」と感じ入った次第です。


桜の時期は、非常に混雑しているらしいですが、

それ以外のシーズンはわりと人が少な目(いわゆる”穴場”)で、

且つ、私の泊まった日は、直前まで「台風が来そうな」予報だったので、

多くのお客さんがキャンセルをされたとのこと、

余計に人が少なくて、土地の持つ力をダイレクトに感じられたのだと思います。

夜の闇も早朝の山々も。

「パワーを感じるスポット」という陳腐な表現では、表しきれない。

言葉ってなんて無力なんでしょう・・・(遠い目)。


場所自体も凄かったし、今回、女将やその師匠に直接お会いすることが出来て、

この土地に生きる方々の凄さを垣間見れた気がします。

(まだ、うまく言語化できないのですが・・・)


色々と今のタイミングだからこそ、吉野に「呼んでもらえた」んだろうなあ・・と、

2週間弱経った今、思っています。

ああ、本当に行って良かった。


お世話になった女将、師匠、土地の方々、

そしてご一緒させて頂いた皆さまには感謝です。

千葉からは足しげく通うことはなかなか叶いませんが、

今回のご縁を通じて、色々と考えることも多く、

絶対、必ず、また行きたいと思っています。

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色々と興味関心が高まり、この頃はこんな本を読んでいます。

「妖怪」にしろ「鬼」にしろ、現代の科学、からは少し離れているものに、

ものごとの本質が隠れているんじゃないかなあ・・・と最近考えています。


妖怪。

それはたぶん、当時の人たちが生きていくに必要だったものなのかなあ、と思ったり。

それは「自然からの警鐘」なのかもしれない。

さらに言うと、非合理だったり理不尽だったり・・・人間にとって「もやもやしてしまうこと」を

「それは妖怪のせい」にすることで、「じゃあしょうがない」と思うようにしていたのではないかなあ・・・とか。


とかく「生きづらさ」が強調される昨今は、

もしかして、そういう「ちょっとしたことを水に流してくれる存在」であるところの

「妖怪」から距離を取りすぎてしまったのではないのかしらん。


そんなことを考えています。


ああ・・・妖怪の歴史や種類をもっと知りたい。

学びたいこと多すぎて時間が足りない・・!


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そういえば、南部にも鹿、いるのですね。

夜になると、鹿の鳴き声が聴こえました。

姿はこの日は見えなかったですが、山にたくさんいるらしいです。

(考えてみれば、この地域には鹿料理を出す宿も多いので不思議は無かった)

こんな鳴き声だなんて知らなかった・・・!

ぴいっ!って感じでした。野生動物が身近にいる暮らし・・・。

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