書店を舞台にした小説を読みました。

先日、ふらっと立ち寄った書店で見かけて衝動買い。

タイトルは『店長がバカすぎて』。

ぱらぱらっと見て、なんとなく気になったので。


舞台は吉祥寺の中堅書店。主人公はそこの契約社員。


・書店員の給料の低さ

・日々の業務の重労働さ、大変さ

・無茶なお客さんから受けるストレス

・出版社からの横暴な要求

・注文かけても配本が無いもどかしさ

などなど・・・


あらゆる敵と奮闘しつつも、「本」を愛する主人公は、

「こんな店辞めてやる!」と何度も叫びつつ、

書店で働くことの「やりがい」を胸に、書店員として働く・・・

「本」は誰かを救うことが出来る・・・。


そんな、お話。


決して、つまらなくは無かったです。

テンポ良くて読みやすかったし、書店員を取り巻く状況をそれなりに描いていると思います。

(それなりに、というのは私が書店業界では働いていなくて、想像でしかないから・・というのが理由です)


思うんだけど・・・


もやもやする。なんか、すごくもやもやする。

読了後、「・・これでいいんだっけ?」という感想が、生まれました。


それは、今年、たまたま古本屋で見かけて手に取った『書店ガール』を読んでいたからだと思います。

似たようなテーマ・・と言ったら失礼だけれど、同じように書店を舞台にした小説。

「書店員という仕事」の低賃金、重労働、ストレス、出版業界の歪な構造・・・

「女性が働くということ」もしっかり描かれていて、とても面白くて、3巻まで一気に読みました。


私が引っかかっているのは、両方の本の内容云々ではなくて、

この「書店ガール」(単行本時は『ブックストアウォーズ』というタイトルだったようです)が刊行されたのがどうやら2007年で。


対して、今、読んだ『店長がバカすぎて』はついこないだ(2019年7月)の刊行。


要は・・・干支が一回りしても、書店員を取り巻く状況は何も改善されていないの・・?というもやもやが生まれてしまったのです。

結局は「やりがい」で全てをカバーしようとしてるだけ・・?に、も見えるんですけど?

それはこの先持続できるの・・・か?


もちろん「それじゃいかん」と、ここ最近新しい取組も色々と始まったり芽生えたりしていることも知ってはいるんですけど。

本の中にそういったことが触れられていることもなかったしなあ・・・もやもや。


『店長がバカすぎる』のカバーや中のチラシに寄せられている多数の書店員さんの絶賛コメント。

そのコメントに嘘も罪も無いんだけど、何か釈然としない気持ちが残ってしまったのはなぜだろう。


こんな大きな問題に結論は無いし、「間借り本屋店主」という形では活動しつつも、

書店業界で働いていない部外者の私がもやもやしたってしょうがないのだけれど。


・・・もやもやしてしまったんですよねえ。

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