地元の空き家を「ブックセンターにできないかな~」と模索中。
その一歩として開催することにした「初瀬の小さな古本市」。
当日、「RoundTrip」という巡業企画で来てくれた旅人の方に記事を書いて頂きました♪
文章も写真も、自分では書けない・撮れない視点。
ぜひご覧くださいませ。
「初瀬の小さな古本市」とRoundTrip2018@初瀬実施レポート
「奈良県」と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?大仏様や奈良公園の鹿など、修学旅行で見に行市内の観光名所が頭に浮かんだ方が多いかもしれません。
しかし今回訪れたのは奈良県の中部にある桜井市の初瀬(はせ)という地域。西国三十三所第八番札所の長谷寺が見守るまちの古民家で、なにやら面白いことが始まろうとしていると聞き、遊びに行ってみました。
1. 場所(空き家)の様子
近鉄長谷寺駅から徒歩5分。少しだけ急な坂道を下っていくと、その途中に立派な門が佇んでいます。8段ばかりの階段をのぼって中を覗くと時が止まったままのお家がお出迎え。
牛乳を入れる小箱がレトロで可愛くて思わず目を止めてしまいました。
どこか懐かしさ漂う雰囲気は、初めて来たとは思えないようなぬくもり感に包まれていて。お部屋ごとに違う扉やガラスのデザインは見ているだけで心が躍ります。
ふと視線を天井に向けると意味ありげな扉が。開いてみると屋根裏部屋へ続くハシゴが出現。中にあったのは不思議な道具や土で覆われた床など謎だらけのものばかりで冒険心をくすぐられました。
一通り遊んだ後は、日差しが差し込む縁側でオヤツを食べて、広い畳の部屋でダラダラ。1日中好きな事をして過ごせたら最高だろうな、と妄想が膨らむばかりです。
落ち着いていて静かだけれど、温かみのある空間は本を読むのにはピッタリ。「こもりくブックセンター(仮称)」としてゆっくりと出来る日が待ち遠しいです。
2.古本市の様子
そんな場所で10月8日、初めてとなる本に関するイベントが開催されました。初瀬というまちで「本と触れ合える空間を」という想いからはじまった2箱だけの「初瀬の小さな古本市」。
「Blue moment.」と「『人と本と酒』みろくや」の店主が、それぞれ持ち寄った本を販売。
どれを手に取っても新しい出会いがありそうで気になるものばかり。それぞれの箱には個性と想いがギュッと詰まっていて顔ぶれを見比べてみるのも楽しいです。
古本市にはお友達が訪ねてくれたり、わいわいしているとご近所さんや通りすがりの方が「何をやってるんですか?」とふらっと遊びに来てくれました。本をきっかけに話に花が咲いている様子にほっこり。福井県南越前町からきた旅の行商さんが売っていた特産品の梅肉について、地元の方が興味深く話を聞いていたのも印象的でした。
次回の開催日は11月18日(日) 10:00〜15:00。近くにあるゲストハウスではバザールが開催されます。古本市の出展者を現在募集中。また、当日はブックセンターリサイクルボックスとして本の寄贈も募集しています。
お問い合わせは「こもりくブックセンター」まで。https://mirokuya.localinfo.jp/
3. 畳上げの様子
古本市と同時に「畳上げ」という一大イベントも開催。流動創生のメンバーと旅人たちによって、裏では空き家の改修に向け準備が進められていました。
流動創生とは…
一人ひとりがすべきこと・いるべき場所・あるべき姿を求めて縦横無尽に動くこと、そしてそれを可能とするために、「組織や個人の流動性の高い環境」を広めていこうとする福井県南越前町から始まったプロジェクトです。
今回は自分に合った「流動的なライフスタイル」を模索するRoundTrip2018という、5日間で福井・奈良・兵庫を巡るツアーの企画として参戦。
Round Trip2018とは…
「多拠点居住」や「旅暮らし」といった流動的なライフスタイルに関心と動機を持つ人々 でチームを組み、地域の人々との交流や複数の地域を連続して巡業する企画です。
畳上げなんて一人では途方に暮れそうな作業ですし、そもそも業者さんがやるものだと思う方が多いかもしれません。しかしスキルを持っている旅人がいれば出来てしまうんです。
畳の裏の持ち手を掴めば一人でも運べるなんて知っていましたか。
ゴミ焼却所まで運ぶためにトラックの荷台へ安全な畳の積み方も、やってみたことがないと思いつかないものです。南越前町からきた旅人の一人は何度も経験したことがあり、的確な指示のおかげで無事に廃棄することが出来ました。会社で働きいつも通りの生活を送っているだけでは知りえなかったはず。旅先での出来事を自分事としてやってみることで、生活力が身に着くとてもいい時間となりました。
みんなで力を合わせたBeforeとAfterはこちら。
Before
After
下に眠っていた昔の新聞記事で当時の記憶に想いを馳せつつ、一仕事を終えた達成感でいっぱいになりました。
Round Tripの良いところは、個人の好きな事や特技が旅先で発揮されること。南越前町では地域の運動会で、人数が足りないチームに助っ人として参加。全体の勝利には貢献できなかったものの、綱引きで優勝候補のチームと接戦になったことで想像以上に盛り上がり、喜んでもらうことに成功。訪れた地域のお手伝いをした分、旅人たちにとってもいい体験になりました。
さらには初瀬の古本市で本への興味関心が深まり才能が開花したメンバーも。次に訪れた兵庫県城崎で無造作に置かれていた古本整理をする際に本領を発揮。テキパキと分類ごとに仕分けし、あっという間にきれいにしてしまいました。次に向かう地域にこれまでの経験が紡がれていくのも流動創生ならではではないでしょうか。
4. 初瀬というまちの様子
初めて訪れた初瀬は、見晴らしがよくて抜けるようにどこまでも続いている空が気持ちのいい町。坂の途中から見る景色も、長谷寺から見下ろした町中の景色も心がスッとして気持ちが落ち着きます。
やる気スイッチをあえて切って思うがままに過ごしたくなりました。
例えばこんな感じに。
朝は長谷寺の勤行に参加し心を清めて、日中はお土産屋さんで買い物したり気になる路地を歩き回ったり。
夜は気分によって温泉旅館やゲストハウスでのんびりと。
1日中長谷寺にいたり本当に何もしないなど、ここだからこそ過ごせる時間があるはずです。
なんでも受け入れてくれる初瀬の空気を一度は感じに来てみてください。
文、写真:Natsumi Yumura
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